女の子の歩き方1
「明日さ、夕方にふたりで歩かない?」
昨晩、突然の電話で、友達のゆのかからそんな誘いを受けた。
(夏にむけて、あと5キロは体重を落としたいなあ……)なんてぼんやり思いつつも、
一度もダイエットらしき行動に移すこともなく、ごろりとソファに寝転んでチューペットをすすっていた私は、
「べつにいいけど?」
そう軽く答えて、ゆのかの話に乗った。
次の日、ゆのかは約束どおり、夕方6時ごろに私を家まで迎えに来た。自分の水色の車に乗って。
「ちょっと、車できたの……?」
Tシャツにハーフパンツ姿の私は、玄関先でゆのかが車から降りてくるのを出迎えた。
「おっす、サホ。いいね、短パン似合うじゃない」
「ゆのか。なんで車なのよ。歩くんじゃなかったの?」
ゆのかは自慢の長い髪をアップにまとめて、首にタオルを巻いていた。
このスタイルだけ見ると、やる気だけはありそうに見える。
でも、ゆのかの家から私の家までは、歩いて5分の距離にある。
本気でウォーキングをする気なら、わざわざ車でやってくるはずがない。
「だってー。サホの家まで、坂道だらけなんだもん。ここに来るまでに疲れ果てるよ」
「歩くのが目的なんだから、いいじゃないの」
「いいの! ここからまだ車で行くんだから」
「はあ?」
私はゆのかの目的がわからず、思い切り顔をしかめた。
中学生の頃から幼馴染のゆのかと私は、高校を卒業してから初めて別々の道に進んだ。
大学は離れたけれど、マメに連絡は取りあってきたし、なにかあったときいちばんに頼るのは、ゆのかだ。
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